《MUMEI》

あの明石珠緒……、見れば見る程思い出す。

この俺が唯一取り逃がした生き物……タマ。


俺は一度手に入れると決めたら離さない。
タマは手に入れた筈だったのだから。
俺はもう一度手に入れる権利が有るのだ。



そして、今日もタマを見ていた。

執着かなんなのかは定まらないモノを奴を眺めながら探し続けていた。



タマは文芸部の窓を開け放し読書をしている。
俺は何も見出だせぬまま、今日も帰ろうとした時。



目の前にタマ(猫)が居た。

十円禿の位置も間違いない本物だった。

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