《MUMEI》
半分以上やつあたり(俊彦視点)
時刻は午前九時を少し過ぎたところだった。


演劇部員と助っ人達は、集合場所の体育館ステージ前に整列しているはずだと、洋子さんは説明してくれた。


「お待たせ〜!」


洋子さんの声が体育館中に響き渡った。


既に整列していた私服の高校生達が、一斉に振り返った。


全員が俺に注目していた。

(ま、当然だよな)


洋子さんの隣に立っている俺は、お気に入りの白いスーツを着ていて、かなり浮いていた。


いつもの俺なら、営業スマイルと甘い言葉を向けている所だが、機嫌の悪かった俺は無言で皆の前に立った。


「彼が、柊です」

「あいつが…」


洋子さんに紹介された柊は、聞いていた通りの美形で…


俺は、更にムッとした。


「お前か!俺と蝶子のラブラブな時間を…
貴重な休みを奪った張本人は!
覚悟しろよ!」


「え? えぇ?」


戸惑う柊に宣言した俺は…

超スパルタ熱血指導を始める事にした。


俺はまず、柊を体育館の隅に引っ張っていった。


「何だぁ!その引きつった笑顔は! 客商売舐めてんのか!」

「ヒィ! ち、違いますぅ!」

「じゃあもっと心から笑え!」

「は、はははい!」

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