《MUMEI》
合宿所の夕食(俊彦視点)
俺の指導のおかげで柊はだいぶマシになった。


(でも、まだ帰れないんだよな…)


心が弱る度に俺の脳内に●ナドナが流れてきた。


「合宿と言えば、カレーでしょ!」


夕飯担当の男子生徒の言葉に、俺は…


「カレー、昔、蝶子とイチャイチャ旅行に行った時のシーフードカレー、おいしかったなぁ…」


思わず、呟いていた。


おかげで、俺の前にいる華奢な男子生徒に驚かれてしまった。


「俊彦さん!俺、かわりに並びますから座ってて下さい!」


そんな俺の所に、柊がダッシュでやってきた。


「いや。お前は好きな子の側にいろ。蝶子には適わないけど、あんな可愛い子、一人にしたら危ないぞ」


柊がこっちに来た途端、和馬役の部員が柊が好きな女の子に近付いていった。


「あ、はい!」


柊は慌てて戻っていった。

「優しいんですね」


一部始終を見ていた男子がポツリと言った。


「片想いの奴にはね。俺も昔蝶子に片想いだったから」


それに、俺役の柊が和馬役の男に負けるのは…気にいらなかった。


そして俺は、持参したマイマヨネーズをかけて、カレーライスを食べた。

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