《MUMEI》 合宿所の入浴(俊彦視点)夕食の後は、風呂。 これは、いつでもどこでも俺の常識だった。 しかし… 「ハァ〜…」 男共の群れを見て、俺は深くため息をついた。 「俊彦さん? お背中流しましょうか?」 俺に近付いてきたのは、カレーを盛り付けていた男子だった。 彼は、俺と同じく合宿限定の料理の助っ人なのだが… 「いや、いいよ」 俺は営業スマイルで申し出を断った。 「…残念」 クスリと笑いながら、彼は俺の元を離れた。 俺は、元ホストで、東京にいた時に、様々な人間に出会った。 彼は、その時知り合った… いわゆる『ゲイ』や『バイ』と呼ばれる人間に近い雰囲気があった。 (まぁ、気のせいかもしれないけど…) 俺の体に触れていいのは蝶子だけだから。 (う…ヤバい…) 蝶子を思い出すだけで、俺は不覚にも泣きそうだった。 おまけに 俺と蝶子のラブラブな肉体関係について、お年頃な高校男子達はかなりしつこく質問してきた。 「だぁ〜! 煩い! もったいなくて言えるか!」 「わ〜!」 「俊彦さんが、御乱心だ〜」 「逃げろ〜!」 俺は、無駄に体力を消耗した。 前へ |次へ |
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