《MUMEI》
同情(俊彦視点)
「おい!祐也(ゆうや)がいないぞ!」


部屋に戻ると、克也役の男子が叫んだ。


祐也というのは、夕食時に俺の前にいた華奢な男子で

(何故か、孝太なんだよなあ…)


前髪で顔を隠した感じや全体的に地味な感じは、麗子に改造される前の孝太に似てなくもないが


華奢で大人しい祐也君は、毒舌孝太には合わない気がしていた。


「まさか、あいつ!」


克也役の男子は、賑やかな女子部屋にノックもせずに踏み込んだ。


(可哀想に…)


俺は、祐也君に同情した。

彼は、商店街の蝶子以外の女性陣のようにパワフルな女子達の…


着せかえ人形と化していた。


当日の衣装だというその格好は、華奢な祐也君には似合っていたが、高校男子としては屈辱の


短パンハイソックスだったのだ。


(助けてやろう…)


俺は、そう思い、口を開いた。

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