《MUMEI》
怪文書
朝になり、私は携帯の電源を入れた。


昨夜は早く寝たので、携帯の電源も早めに切って充電しておいた。


一晩位は大丈夫だろうと思い、俊彦には特に電話もメールもしなかった。


(あ…)


俊彦から着信が一件入っていた。


それから、画面が『メール問い合わせ中』に切り替わり…なかなか元に戻らない。


…そのパターンに、私は覚えがあった。


(…やっぱり)


メールの数は二十三件。


…全部、俊彦からだった。

私は恐る恐るメールを開き、思わずため息をついた。

『蝶子、電話ちょうだい』はまだいい方だった。


それから文面はどんどん乱れ、私の名前がぎっしり平仮名で書かれたメールは…

正直、気持ち悪かった。


(それに…何だろう、

『ドナドナ』って…)


後半になると俊彦のメールは


『ドナドナやだ〜ドナドナドナドナ!』


というように、ほとんどドナドナという単語しか無かった。


(確か、そういう歌あったけど、関係無いわよね)


私は華江さんの手伝いをする為に、携帯を置いて台所に向かった。

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