《MUMEI》
西口
(本当に…来ちゃった)


私は戸惑いながらも、吾妻高校に向かう事にした。


(西口…よね)


私は、華江さんから渡されたメモを確認しながら西口に向かった。


吾妻高校は、西口から徒歩二十分とあった。


(歩いていけるかな…)


考えながら歩いていると…

トンッ


「あ、すみません」


私の持っていた荷物が前を歩いていた女性にぶつかってしまった。


「大丈夫ですよ」


(うわ…)


振り返った女性は、女優のように素敵な長身の美人だった。


(年上、だよね…)


その女性は待ち合わせらしく、階段下で立ち止まり、時計を見ていた。


(訊いてみよう…かな)


「あの、すみません」

「はい?」

「吾妻高校って…わかりますか?」

「あぁ、それなら…

あの二人なら、わかるかも」


そう言って、女性が指さす方向には、二人の男性がいた。


「お待たせ、どうかした?」

「あ、うん。この人がね、吾妻高校までの道知りたいみたいなの」

「おぉ、俺達の母校じゃん。なぁ、慎(しん)?」


雅彦を少し年上にして、…少し、俊彦に近付けたような美形が隣にいる、商店街の誰にも当てはまらない中性的な美形に話しかけた

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