《MUMEI》

僕は急いで1階に降りると、ドアの覗き穴から外を窺う…。


すると、凸面鏡のような視界の中に、大きな買い物袋を肩にかけた女の子の姿が見えた。



「しずかちゃん…」



出来杉の予告通り、しずかちゃんが現れたんだ。



でも…、なんでヤツ(出来杉)は、しずかちゃんが僕の家に来ることを知っているんだ?


…さては、しずかちゃんの後をつけて…?



僕はドアを開けると『早く早く!』と手招きしながら、しずかちゃんを中に入れる…。



ドアを閉める間際、サッと周囲を警戒したが、怪しい人影などは無かった。



―――…考え過ぎか……?



僕は、買い物を手伝ってくれたしずかちゃんを伴い、地下室へと向かったんだ――…。



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