《MUMEI》
勝手 〈私〉
朝のランニングを済ませて、着替えて駅に向かう。


…密かに、おにぎりを握る練習もしてる。


上手く握れるようになったら、椎名くんに持っていくんだ。




駅のホームには、先に来ていた椎名くんが立っていた。



「…おはよ」


「おはよう」



挨拶をしたあと、また沈黙が流れる。
昨日とは違う、少し気まずい沈黙。



電車が来て、ドアが開く。



椎名くんは、私とは違う車両に乗った。




―…どうしよう。



私が言い出したことなのに、



この距離が、苦しい。






…私、ほんとうに、勝手だ―…

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