《MUMEI》
金曜日 〈おれ〉
もう、金曜日。



…そのことが、おれを焦らせた。



授業中、ぼおっとしていると、



「…じゃあ、動物について細胞説を唱えたのは誰だったか覚えてるかー??
―…えーと、蓬田」



まっすーが、蓬田に当てた。



蓬田、か…


そのままぼーっとしていると、



「おい、蓬田??どうした、気分でも悪いのか??」



まっすーの声。

顔を上げると、まっすーと思いっきり目が合った。



―…そっか!!

『蓬田』って、おれのことか!



「い、いえ!!元気ッす!!」



そう言って慌てて立ち上がると、



「そ、そう??―…んじゃあ、答えて。
動物について細胞説を唱えたのは??」



と、再び質問を投げかけられた。



…は??



細胞説…??



誰だよ、動物学者か??



みんなが不思議そうな顔をしてこっちを見ている。



―…よし、ここは取りあえず、知ってる動物学者的な名前を…



「…ファーブル…??」



みんな、ぽかんとしてる。

あの瀬田まで。




「あー…、ほら、疲れてんだろうね。
…でもまあ、一応テスト前だからさ、早く寝なさいね」



座っていいよ、と言って、まっすーが別のやつに当てたので、座った。



…テスト前て…



どうしよう、おれ、やべえじゃん…!!!

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