《MUMEI》 「どうしたの、元気ないね」 昼飯の時間。 青木が、心配そうに声を掛けてきた。 「いや、全然元気だよ」 おれが答えると、 「うそ、だって、生物の時間ヘンな間違いしてたし…」 青木が食い下がる。 「あ、あれは、ぼーっとしてただけで―…」 弁当を取り出そうとカバンの中を見て、気付いた。 …蓬田に、弁当渡してねえ… ちらりと蓬田と瀬田のいる方に目をやると、 蓬田は瀬田にパンを貰って食べていた。 ―…大丈夫、か。 「ほんとに、だいじょーぶだから!」 青木に、笑って答える。 「そう??…だったらいいけど…」 弁当を食べ始める。 ―…そうだ。 おれが居なくたって、 蓬田は、大丈夫だ。 前へ |次へ |
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