《MUMEI》

「かなめ〜、祥子〜!!」



元気な声を響かせて、金原が駆け寄ってきた。



「どしたの、リッコ(金原の名前が律子)??」



青木が問う。



「ふふふ〜♪聞きたい??」



金原は、にこにこしながら言う。



「何??瀬田と何かあったの!?」



青木が乗り出す。


―…瀬田…??

何で今、瀬田が出てくんだ???


おれが首を捻っていると、



「別に何かあった訳じゃないんだけど〜…
―…喋っちゃった!!」


「…それだけえ〜??」



青木が呆れたように言う。


―…なんだ??


瀬田と喋ったら、何かいいことでもあんのか??



「それだけって、すっごく緊張したんだからね!!?」



金原が頬を膨らませる。



「ごめんごめん。…でも、何で瀬田??
―…どこが好きなの??」


「ごほっ、ごほっ!!」



青木の言葉に驚いて、むせてしまった。

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