《MUMEI》 金曜日 〈私〉「せ、瀬田!!」 その声に、 私の向かい側でパンをもぐもぐと食べていた瀬田くんが、顔を上げる。 「お、金原じゃん。なにー??」 リッコ?? 私も振り返る。 と、顔を真っ赤にしたリッコがプリントを持って立っていた。 「こ、これ…まっすーに渡しといて! あの、教科連絡だからさ、ほら」 上ずった声でそう言って、プリントを突き出すリッコ。 「おー、サンキュウ♪」 瀬田くんがプリントを受け取ると、 「じゃ!!」 そう言って、リッコは祥ちゃんたちがご飯を食べている方に駆けていった。 …かわいいな、リッコ。 「顔赤かったぞ、金原。どーしたんかな??…風邪かな??」 パンをかじりながら、瀬田くんが呟いた。 前へ |次へ |
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