《MUMEI》

「―――――ッ…」
「――――――」

きっつく抱きしめてくる慣れた感触、慣れた匂い。

「―――こあかっ…ぁ……、こわ……」
「俺のせいや…、もうこんな目に二度とあわせん、」
「俺、貢から、離れたく…、ない…」
「絶対に離さん、何があったって…」
唇が深く重なってくる。
恐怖を払拭するかの様に俺からも必死に貢を求めた。
漸く落ち着き、ふと扉の前を見ると、膝を抱えながら静かになく日高がいて…、
俺と目線が合うなり俺に駆け寄り抱きついてきた。
「ごめんな〜!佐伯ぃ!ごめん、ごめんよ〜!」
「いーから、だって日高のせいじゃないし」
「ごめん……」
ふと貢を見ると柔らかく微笑まれた。

……うん、

「日高、貢の事呼んでくれたんだろ?
有り難うな…」

「ひっぐ…、あう、
佐伯〜、佐伯〜」

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