《MUMEI》
丁寧な二人
「あ…の。演劇部は…」


「演劇部? 何? お姉さん、もしかして、キングのファン?」

「…キング?」


出会った頃の和馬のように、茶髪に大量のピアスを付けている高校生の言葉に私は首を傾げた。


「あ、違うの? じゃあ、演劇部なんてどうでもいいじゃん!」

「カラオケでも行こうよ」
「お荷物お持ちしま~す!」

「ちょっ…」

「遠慮しなくていいよ!」

(ど、どうしよう…)


「ちょっと待ったぁ!」


(…え?)


叫び声と共に、私の荷物を引っ張る高校生は突き飛ばされた。


突然現れたその男性を、軽音楽部員達は『キング』と呼んだ。


「大丈夫ですか!?蝶子さん」

「え? どうして…?」


あっという間に軽音楽部を追い払ったその綺麗な男性は


「御挨拶が遅れて申し訳ありません!お…僕、俊彦さん役をやらせて頂いております!

高山 柊(たかやま しゅう)と申します!」


ものすごく、丁寧に私に自己紹介をして、深々と頭を下げた。


そして


「はじめまして。孝太さんの役をやってる田中 祐也(たなか ゆうや)です」


後から来た華奢な少年も、とても丁寧で、いいというのに、二人は私の荷物を持ってくれた。

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