《MUMEI》
洋子さんとの会話
「差し入れありがとうございます」

「あ、洋子さん。す、すみません、勝手に来ちゃって。
ほら、俊彦離れて!」

「え〜、もうちょっと…」
「せっかくゼリー作ってきたのに」

「わかった! すぐ食べる」


(…やっと離れた)


会えたのは、…嬉しいが、さすがに知らない人に見られるのは恥ずかしすぎて、困っていた。


(知ってる人でも、…恥ずかしいけど)


「助かりました」

「…え?」


洋子さんの言葉に、私は不安になった。


「もしかして…何かご迷惑を?」


ゼリーに夢中な俊彦に聞こえないように、私は小声で質問した。


「いえいえ、とても助かってますよ。でも、蝶子さんが側にいないから、今日は特に元気無かったんで」

「そ、そうですか…」


私は、チラッと俊彦を見た。


「おいしいよ〜、蝶子!」

(そんなに…元気無かったのかな?)


私が首を傾げるほどに、目の前の俊彦は元気過ぎるほど元気だった。


「じゃあ、練習再開するわよ!」


洋子さんが、体育館中に響く大声で言うと


「はい!!」


皆が気合いの入った返事をした。


私はとりあえず、ゼリーの器を片付ける事にした。

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