《MUMEI》 昼食作り私は、双子だという仲村 祐(なかむらひろ)君と希(のぞみ)ちゃんの案内で、合宿所の台所にやってきた。 同じ双子でも、二人は二卵性の双子だから、似ていなかった。 「じゃあ、蝶子さんの息子さん達も双子なんですか?」 一緒にゼリーの器を洗ってくれている希ちゃんの言葉に私は頷いた。 「うちは一卵性だけど。あと、いとこも」 「へ〜、すごいな!」 昼食のチャーハンの材料を切りながら、祐君は感心していた。 「すごいのは、祐君の料理の腕だと思うけど」 「そりゃ、どうも」 中華料理店の後継ぎだという祐君の手際は、本当にすごく良かった。 「ねぇ、祐。この器、何かに使えない?」 「もちろん、使うよ」 「あ、あの…私も、何か手伝う?」 (祐君と希ちゃんがいれば大丈夫かもしれないけど…) 「「いいんですか?」」 私の申し出に、二人は目を輝かせた。 二人は、私がすぐ俊彦の所に戻ると思ったらしい。 「大丈夫よ。俊彦も、私が手伝うと思ってるから」 「…わかりあってるんですね」 「馬鹿だな、希。あのラブラブっぷりは半端なかっただろ?」 祐君の言葉に私は真っ赤になった。 前へ |次へ |
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