《MUMEI》

タマを連れてくにあたり、父さんに微塵も疑いを与えてはいけない。

タマのサイズはこの間定規で(つい打ち付けて)採寸した。
タマに合わせて黄みがかった白のボリュームがあるドレスを発注する。

極秘の環境を用意して俺が全て着せた。

ハーブオイルの芳香漂う湯を張り、その中に湯浴みさせ、長い髪を切り揃え、丁寧に拭いてやる。



生まれたてのような柔肌にドロワーズからペチコート、フリルのドレスを着込ませてゆく。

骨董品のドールのような風貌になっていた。

完全に、タマを知らない人間が初見なら同一人物とは思わない。


靴下を履かせるときもされるがままに体を預けるタマにちょっと、感動を覚えた。
出来れば、その足の裏にヤキゴテを押し付けてしまいたい………………



計画通りにタマを『籠』と名付けられた奴隷部屋に収容させる。
中には螢が居る。
螢に千花が命令し、毒入り焼き菓子を持たせた。



疎遠していた千花と共謀し、父さんに毒を盛るという算段だ。

…………表向きは。

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