《MUMEI》 「三葉ちゃんかわゆい……見て、服掴んだあ」 ちっちゃな指が動くだけで幸せだ。 「ぐずりそう……そうか、二郎の胸じゃお腹膨れないもんな。」 乙矢め、胸を触るな……! バタバタと玄関が騒がしかった。 「いらっしゃい」 母さんが誰より早く反応した。 「じろー!」 七生だった。 どこから走って来たのか、冬場なのに汗だくだ。 「写メ届いたみたいだな……可愛いだろ?」 乙矢が俺の肩を抱いた。 「この赤さんは……」 わざとなのか七生、赤ちゃんて言えてない。 「みつばちゃんだよ、目とかそっくりでしょう?」 余程、三葉ちゃんに会いたかったみたいで唇を悸かせて近付いてくる。 前へ |次へ |
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