《MUMEI》 「じゃあ本当に、乙矢との子を孕んで……?!」 七生は青ざめている。 「「は?」」 一同、声を揃えた。 そして乙矢が微かに笑いを浮かべていたのを見てしまった。 「何を吹き込まれたか知らんが乙矢に騙されてるんだよ、馬鹿だな……」 もうこれ以上の言葉は見付からない。 「テメッ……騙したな!」 乙矢に拳を振り上げると同時に三葉ちゃんが泣き出した。 「七生が五月蝿いから三葉ちゃん泣いちゃったよ。」 軽く揺すってあげる。 「あ、三葉てタロ兄達の子供か……! 二人の血を引くわりには軟弱だなーべろべれぶぇー」 誰の子か気付いたようで随分気を緩めている。 そして七生のその顔は面白過ぎだろう……。 「ぶっさい顔。お腹すいてんだよ。」 ミルクを片手に乙矢がバッサリ斬る。 三葉ちゃんはミルクを与えられるとぴたりと泣き止んだ。 「なんか、面白絵面になっているね……写メしとこ」 麻美が男三人が赤ちゃんをあやす図を撮った。 「……誰かの携帯鳴りっぱなしだよ」 俺のでは無い。 「乙矢のだろ、俺バイブだもん。」 七生が携帯を確認した。 「いいんだ、暫くは楽しんでおくから。」 満足そうに乙矢は鳴り響く携帯の電源を落とす。 ……何をしているやら。 前へ |次へ |
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