《MUMEI》

「――な、平山さんに連絡しろよ…、多分連絡待ってるから」




隆志はまた煙草を出し火をつけた。



「うん……そうだった…―――携帯……」



「ん?」



「携帯、俺んち…」

「―――――」



チェストの上にある宅電を掴み、ボタンを押す。



マネの携帯番号は既に頭に入っている。


「覚えてた?」




「さすがに付き合い長いし、…――――――…もしもし、
惇です…」








午後からの受診で病院に行く事にし、平山さんが先に予約して待っててくれる事になった。





隆志もさっぱりしてくるとシャワーを浴びに行き…、なんとなく俺は一宿の礼も兼ねて散らかった部屋を簡単にかたずけだす。




洗濯機が衣類の山になっている事に気づき、洗ってやるかと洗剤を入れて……、



「――――…」





血のついたタオルが目についた。





「鼻血か?…――
アイツバカだな…、ほっといたら落ちないだろ」





綺麗に落ちなくてもいいからせめて洗濯機で洗うとか…、揉み洗いなんて彼には無理だろうからそれ位はしろよと思ってしまった。




タオルを掴み洗面所に置く。



洗剤をつけて揉み洗いするも、



「あ〜手遅れ?
もう!落ちねえ!」


途中で止めて洗濯機に入れる。



そして電源を入れ、洗濯機が回りだした。







レンジを開けると得体の知れない炒めご飯が入っていた。
匂いをかいでみるも…



「は〜…なにこれ…」



皿一枚にてんこ盛りのご飯。



つか…―――マーガリンの匂い??




ちょっと…胃にぐっときて…、それでもそれをテーブルに置く。



すると隆志が出てきた。




すっかり元に着替えていて、小さなタオルで髪を拭きながら



「あー、すっかり勝手に使わせて貰った」



「いーよ、あいつとは逆ン時もあるから、それよりこれ何だろ」




目線を皿に移すと隆志が近寄ってきて…



「――変な匂いするな」


「多分これマーガリンの匂いだと思う…」


怪訝な表情で隆志は暫く皿を見ていたが…

「これ出先で捨てよう、気持ちだけ受けとろう」



俺も深く…同意した。


キッチンに皿を持っていき買い物袋にそれを詰める。

「これ炒飯かな?ね、裕斗に炒飯ご馳走様って言えば良いのかな?」

「う〜ん…、奴はピラフのつもりかもしんねーぞ?炒飯でマーガリンは使わねーだろ」



……君の名は?

……――

「はあ…」


とりあえず皿を洗い、排水洪のご飯粒をゴミ箱に捨てようとゴミ箱を開ける。




「――――…」



見た事のあるシャツ、そしてそれは血まみれで……


「隆志!!」

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