《MUMEI》
一休み、一休み
「ピンチなのはお前だけだぞ?とりあえず邪魔だから横にずれろ!」
やや安堵した声が聞こえる。
「邪魔って・・」
ぶつぶつ言いながらも横へ逃げようとするが疲労が濃くゆっくりしか動けない。
そこへ当然のようにさっきのマミーが襲い掛かる!ゴッっと鈍い音が響いた。
「痛っ〜非力な魔法使いに前衛させるなよな〜・・」
間にボンカーが飛び出し狩月をかばいマミーからの攻撃を受ける。そのまま横へと突き飛ばしボンカーもそれに続いて横へと逃げる。
「ナイスボンカー!喰らえ!!炎を纏いし者よ、我が呼びかけに答えその力を我が矢に宿さん!その力をもって敵を撃ち抜き焼き払らえ!フレイアルアロー」
ボッと琴の持つ矢が燃え上がり一気に空中を突き抜ける。ゴゥ!と矢の通った飛跡を追うかのように炎が道一杯に駆け抜けモンスターを焼き払ってゆく。炎が通った後にはモンスターの1匹も残っていなかった。
「こんなところでこの技使うなんてな・・」
ほっと安堵しながらそうつぶやくとその場に座り込む琴。
「ここってレベル5くらいでいけるんじゃないのか?モンスター強すぎだろ!」
傷口に薬草を当て包帯を巻いていきながら琴に尋ねる。
「まぁ〜勝てたから問題ないだろ。しかし・・すごいスキルだったな〜ファイアの炎なんかじゃ比べ物にならないね。全部まとめて1撃だもんな〜」
幸い軽症ですんだボンカーは先ほど琴が放ったスキルに感動しているようだ。
「油断のしすぎだと思うぞ・・。とりあえず移動するぞ。」
そう言うと先へと進んでいく琴。あわてて付いていく二人。
「だ〜HP回復してないのに・・」
「俺も・・疲れたから休みたい〜」
ぶつぶつ文句を言う二人をギン!っと一睨みで黙らせ
「もう少し安全な所で休憩したほうがいいだろ?あそこはモンスターの出現率高いからな。前衛がもう少し強かったらな〜・・」
狩月の方をみて笑う琴。うるせ〜と文句を言いながらもふらふらしている狩月。
しばらく歩くとやや広い場所に出た。壁には松明もあり、明るい。さらには何人かが会話している。彼らも休憩中のようだ。
「ここが比較的安全なとこだ。休憩は基本的にここでだな。まぁ無駄話もここでしろ。」
琴の話を聞いているのかいないのか二人は座り込む。
「あ〜疲れた・・もう動けないぞ」
「確かにね〜疲れた、疲れた。」
「まぁそうだろうな、最初のうちは疲れやすいからな。休憩なしは辛かったかも。そういえば二人ともレベル上がってるが・・BPとかSPちゃんと振り分けしてるか?」
二人は互いに顔を見合わせ、
「忘れてたな」
「レベル1の時から1もBP振ってないや・・」
完全に忘れていたようで二人で笑いあっている。互いを指差しけらけらと。
「やれやれ・・そんなとこだと思ったけどよ。今のうちに振っとけよ。」
二人はう〜んと悩みながらもBPやSPを振り分けているようだ。
その二人の様子を見ながら琴はまた肩をすくめた。

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