《MUMEI》

◇◇◇

「あんこ、おいどうした‥?」

「ぇ」

あたしを見てるその瞳は‥‥

凄く不安げで‥‥

蜜樹君が

こんな顔をあたしに見せたのは‥‥‥

初めてだった。

「ぁ、ごっ‥ごめん!(苦笑)」

あたしは‥

出来る限り明るく振る舞った。

「あたし、何かボーッとするのが癖みたいで──よく言われるんだよね〜『杏子はボーッとし過ぎ』って(苦笑)」

「でも、さっきのお前の顔、何か悩んでるっぽかったけ‥」

「そんな事ないよ♪ ここの和菓子とお茶さえあれば、あたしは元気だから(笑)」

あたしは‥

思いっきり演技≠してた。

嘘をついてた。

大好きな人に‥‥。

◇◇◇

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