《MUMEI》 再び西口俊彦の提案で、私達は駅前に来ていた。 吾妻高校から駅までは、下り坂になるので、徒歩でも余裕で行けた。 西口付近には、いくつもの飲食店があり、私達はどこがいいか迷っていた。 その時。 「あら? …蝶子、さん?」 「…え? あっ!」 声がした方を振り返ると、志穂さんと、慎さんと祐希さんがいた。 「…誰?」 首を傾げる俊彦に、私は三人を紹介し、三人には、俊彦を紹介した。 すると、驚くべき事実が判明した。 何と… 俊彦が指導している高山君と、主役の志貴ちゃんが、志穂さんの兄妹の子供で 祐君と希ちゃんが、志穂さんと慎さんの子供だというのだ。 「…そんな大きいお子さんいるなんて、見えないです」 私の目には、志穂さんは三十代後半に、慎さんは、俊彦と同じ位の三十代前半にうつっていた。 「もう皆四十五よ」 「「えぇ!?」 志穂さんの言葉に、私と俊彦は声を揃えて驚いた。 (み、皆…って) 「こいつ、童顔過ぎるよな」 祐希さんが慎さんを指差した。 「つ〜か、そっちが既婚者で子持ちなのもびっくりだし」 慎さんは、私を指差して苦笑した。 前へ |次へ |
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