《MUMEI》 宗方是清は学生時代から才能を遺憾無く発揮。 二十代にして企業のエースに上り詰め、彼に憧れて入社した者も少なくない程の有名人だったちなみに俺もその一人であった。 彼には同期でこれまた超優秀な相方が居て、二人で組んだ仕事は太鼓判の出来であった。 新人の俺を小まめに気にかけ、育ててくれたのも宗方さんだ。 彼のその才気に美貌、そして人柄に誰しも憧れた。 そんな彼が相方と企業すると判明、声が掛かったときは雄叫びをあげたくなるほど嬉しかった。 「……宗方さんが、ホモ?」 かなり、衝撃的だった。 「俺、あいつにずっと言い寄られていてな……。 断り続けてはいたんだ、仕事も認めている。 ただ、全てを理解し合う事は出来なかった。 俺は別の企業で働く。お前達も来いよ、前の職場より待遇もかなり良いし、給料だって倍だ。」 相方である徳和さんの甘いお誘い、揺れ動いた。 昔彼女にフラれて飲み明かして宗方さんが 「俺が彼女なら好孝を捨てるような馬鹿な真似はしない。」 と言う励ましの言葉さえも不浄なものに感じた。 「岸君は感動したことある?私はあるわ。」 徳和さんと宗方さん抜きにマッスルエンジン社員で会合をした。 巻橋 利恵(まきはし りえ)さんは黒縁眼鏡にショートボブがトレードマークの最年長の姉貴分で徳和さんに次ぐ、敏腕やり手社員だ。 「私は性別抜きにして“宗方是清”の才能に惚れ込んだの。 正直に言えば徳和の出した条件はおいしい、皆を集めるまで悩んでいた。 でも、マッスルエンジンを選んだのはそんな打算的なものじゃなかった。いつの間にか、宗方是清を選んでいたの。本能に近いわ。」 巻橋さんの言葉で目が醒めた気がした。 次の日、自然と(株)マッスルエンジンに社員が集まっていた。 前へ |次へ |
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