《MUMEI》

翠華は立ち上がり、座っている湧雄を見ながら言った。


「証拠はなくても分かるのよ、あたしには。」


"バシっ!"


床に林檎が刺さった針と何も刺さっていない針が数秒遅れて落ちた。


翠華は湧雄の頬を思い切り平手打ちした。


「証拠がないくせに私の未来を勝手に決めないで!未来は変えることが出来るのよ。」


翠華は怒鳴ってから、走って部屋を出て行った。


湧雄は叩かれた頬に手を当てた。

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