《MUMEI》

「悪いけど無理。


今さら戻る気はないし、


どうせ皆も同じだろ?」


「そうすか…


わかりました。」


(これで全滅か…)


部員勧誘を始めた椎名。


まずは元部員たちに声をかけるが、


猪狩に怯える為だろうか、


戻って来る部員はいなかった。


(あと2人…


あと2人いれば体育館が使えるのに…)


体育館の使用権を貰う為には、


5人の部員が必要だった。


実際に今ハンド部の部員としているのは、


椎名、猪狩、ユキヒロの3人。


猪狩とユキヒロはもはや名前だけの部員となっていたが、


ハンド部に席があるのは事実。


あと2人、


あと2人いれば体育館で練習することができるのだ。


「なぁ、俺と一緒にハンドボールやんね〜か?」


「あ〜無理無理。


俺バイトで忙しいし。」


「…そっか。


悪い。


ありがとな。」


すでに部活に所属している生徒、


その他の活動をしている生徒、


部員勧誘にしては時期が悪かった。


(やっぱもう遅いよなぁ…)

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