《MUMEI》

 


『会社員 赤岩源太郎四十六歳が五年前に再婚した妻の赤岩美鈴三十五歳の連れ子を殺害し遺体を家に隠し――――………………尚、遺体は薬指を切断され、源太郎被告による虐待と警察は――――………』


ニュースで普通に流れる物騒な事件。





「あの女の人……、言えたんだね。」

夜中、砂場で一人泣きながら山を作っていた女の人。
私の小指が言う、私にも分かった。
昨日、夢で見た光景。

駿という子供の自分、新しい父親に殴られ薬指の姿になった。

母親は切り取った自分の薬指に亡くなった父の指輪を嵌めて筐に仕舞う……

僕の指を持ち歩くとき、ママは僕になる……。
僕の好きだった砂場でお城を作る…………僕の薬指を埋める……

そんな、哀しくて苦しい気持ちが私と小指を締め付けた。





私が当てて掘り起こし砂から現れた薬指は、駿君の指じゃなくて、私の縫い付けた小指みたいに白く美しかった。

「お姉ちゃんが、駿君を助けるおまじないを教えてあげる。
そしたら、駿君はもう、薬指は要らないよね?」

私が、駿君のママを自由にしてあげる。





手に入れた薬指は瓶の中へ沈めた。

小指は馬鹿にするけれど、硝子越しに耳を傾けると少年の笑い声が聞こえる気がした。

瓶詰の薬指は私が大切に保管している。

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