《MUMEI》
試合
周哉たちが来た学校は、藤岡第一中学校、通称「一中」、周哉たちが卒業した学校である。
そこで周哉たちの入っていたバスケ部の試合があり、その観戦をしにきたのである。
試合会場の体育館に入ると、「せんぱーい」と声をかけられた。
「よお、久しぶり」
昇が返事をした。
「久しぶりです。先輩も見にきてくれたんですか?」
周哉たちの後輩の山田だ。
「うん、相手が相手だしな」
今回の一中の対戦相手は藤岡第二中学校、通称「二中」で一中と二中はバスケのライバル校なのである。
だから卒業した周哉たちも来たのである。
「どう?今日勝てそう?」周哉が聞くと
「はい。男子も女子も準備万端です」
山田の返事には自信が満ちていた。
「そっか、じゃあ観客席で観てるから。がんばれよ」
そう言って春と奈々の方を見ると
「おぉ、背景にバラの花が見える」
と昇が言った。
「・・・見えるな」
周哉もそれに賛成する。
その理由は春と奈々を取り巻いている女子の後輩達の目が、単に先輩を見る目ではなくなっているからである。
「・・・先行ってようぜ」
「・・・ああ、そうしよう」
という訳で周哉と昇は先に観客席に向かった。

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