《MUMEI》
「こんばんは、聖君」
「こんばんは、お久しぶりです」
礼儀正しく折り目正しく頭を下げる聖君。
「3年ぶりか?大きくなったなあ」
「いえ…なかなか身長伸びなくて」
確かに…
3年前とあまり身長変わってない。
顔も幼いままだし、下手こいたら小学6年でも通用しそうだ。
「あ、わりいなこんな遅くに、どうしても欲しいバカがいてよ〜、本当にわりいな」
「いえ、あのどうぞ」
聖君はコンビニの袋を俺に差し出してきた。
有り難うと受け取ると、2本だけ入ってた。
「すみませんそれだけで…」
「いや、十分十分!
有り難うな、本当に有り難う…、―――
なあ、少ないけどこれ」
財布から出しておいた8ツ折りの一万円札を聖君の手の平に握らせる。
「あの!困ります!」
「い〜からい〜から!なんか好きなモンでも食え?彼女になんか買ってやったってい〜んだし」
そんなこんなで多少のやりとりの後…
「……はい、じゃあ、遠慮なく…、有り難うございます」
「いや、こっちこそ有り難な」
また改めて遊びに来るからと言い残し俺は聖君と別れた。
それにしても相変わらず可愛い子だった。
全く……
佐伯とはまるっきり…
いや、佐伯も初めて会った頃は可愛いらしかったんだよな……。
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