《MUMEI》 宗方さんの恋人、美作乙矢君はかなりカッコイイ。 顔も体(宗方是清調べ)も素晴らしく、頭の回転も良い。 「社長、乙矢君、欲しいです。」 飲み会での利恵さんの爆弾発言にウーロンハイを吹き出すとこだった。宗方さんは吹き出していた。 「…………社員としてです」 利恵さんは後付けで解説してくれた。 「私、20時には帰りますから徳和の穴埋めは大変なんです。 社長もでしょう?彼、有望なんで早いうちに唾付けときましょうよ。」 流石、やり手社員…… 「流石、子持ちのママは言う事違うなー」 「子持ち?!」 利恵さんが?! 「あれ、私バツイチなの言ってなかったっけ?」 言ってませんよ! 「……俺に内緒にして皆で楽しんでいたんでしょ!」 そういう人達だ! 「可哀相ですねーよちよち」 宗方さんに頭を撫でられる。 「うっさい全身性感帯!」 手を振り払う。 ちょっと本当に嬉しそうだった。 「利恵さんとこの子、反抗期だー」 社員の一人が何か言ってきた。 「……私の子育て、放任主義だから。」 ネグレクト(育児放棄)の間違いではないかと思わせるくらい利恵さんは落ち着いた飲み方をしている。 「助けてくれないですよね利恵さん。 案外、仕事は出来て家事はできなかったりなんかして……」 育児放棄というよりはこの方がしっくりくる。 「岸君?」 利恵さんが俺を手招きした。隣に座るといい匂いがする。 そして彼女の長い指が動き、手入れされた鋭利な爪が俺の頬に食い込んだ。 「アダダダダダダダダ」 ちぎれる……! 「利恵さんの離婚原因はそれだからね……。」 宗方さんがぽつりと漏らした。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |