《MUMEI》
憧れ
通し稽古でも、志貴ちゃんの演技力は輝いていた。


それに、しっかり者の志貴ちゃんは皆に人気があった。


(凄いなあ…)


私はそんな志貴ちゃんが羨ましかった。


俊彦は、私によく似た娘が欲しいと言っていたが…


(私、よく俊彦に流されるし…)


私としては、商店街の女性陣や、志貴ちゃん


それに、西口で会った志穂さんのようなしっかりした娘が欲しいと思った。


(その点、壱子は理想よね)

私は、しっかり者だったという母の名前を付けた壱子の成長の様子にかなり満足していた。


(名前って、大事かも)


そして、私は、練習が終わった志貴ちゃんに


娘の志貴ちゃんや、姉の志穂さんよりも、しっかりしている志貴ちゃんの母親の

貴子(きこ)さんの名前を、私の娘に付けてもいいかこっそり相談した。


「読み方は変えるから…いい?」

「別に構わないと思いますけど、いいんですか?

…肉食になっちゃうかもしれませんよ?」

「何それ?」

「あ、すみません、ちょっと祐也!」


私の質問に答える前に、志貴ちゃんは、打ち上げに参加せず真っ直ぐ帰ろうとする田中君を引き止めに行った。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫