《MUMEI》
呆れ
俊彦の言葉に皆は静まりかえった。


そして、全員が厨房にいる私に注目した。


(俊彦…)


私は呆れながら、俊彦を睨んだ。


「ご、ごめん、蝶子。…喋っちゃった」


エヘッと笑いながら自分の俊彦が頭を叩いた。


「蝶子ちゃん、…本当に?」


皆を代表して、咲子さんが私に質問してきた。


「まだ…一ヶ月と、半月にもなっていないんですけど…本当です。

三ヶ月位して落ち着いたら報告しようと思ったんですけど…」

「ぼ、僕が喋っちゃいました」


…俊彦はその後、皆に叩かれていた。


一応、祝福の意味が込められているのだが…


「痛て、痛いよ!皆!
待て!麗子、お前、蹴らないよ、な?」

「大丈夫、顔は避けてあげるから」

「お前…マジか!?」


俊彦は男性陣に取り押さえられた。


ヒュンという音と共に、麗子さんの蹴りが


「ヒィ!」

「…本気でやるわけないでしょ、蝶子の意志を無視したから、ちょっと脅かしただけよ」


俊彦の脇腹近くで足を止めた麗子さんは、ニッコリ微笑んで足を下ろした。


「ど、どんなに形が良くても、麗子の足は…武器だ、凶器だ」


俊彦は麗子さんに聞こえないように呟いた

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