《MUMEI》
食生活改善のススメ
「さすがにその状態だと食べられるんだな」

「…まぁ、…そう、ですね」


売店で買ったパンを食べ終えた忍に、俺は何とか敬語を使い答えた。


コンコンッ


「「はい」」


ノックの音に、俺は不本意だが忍と一緒に返事をした。


「ちゃんと食べれたかい?」


眩しい笑顔と、優しい声と一緒に、大さんが入ってきた。


俺は頷き、空になったお盆を見せた。


「良かった」


大さんは俺の頭に軽く手を置いた。


その手をすぐに離すと、今度は姿勢を正して忍に頭を下げた。


忍も立ち上がり、会釈した。


「結果は明日出ますが、一番の問題は、ストレスと貧血だと思います。
祐也君は、一人暮らしだと聞きましたが?」

「すみません、俺、独り身で、東京で仕事してまして… 今日もこの後帰らないと…」

「お忙しいんですね」


大さんの言葉に、忍は申し訳なさそうに頭を下げた。

「金額的な問題もありますが、もし、そちらがよろしかったら、こちらでしばらく入院して、食生活を改善してみてはどうでしょうか? 一週間ほどなら、勉強にも支障無いでしょうし、私の姪もサポートします」


普通に考えれば、忍にとっては有難い提案だった。

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