《MUMEI》
捜索
「一緒に捜そうか? この病院、昔から来てるから結構詳しいし」

「いや、散歩がてら捜してみるよ。志貴、これからバイトだろ?」

「でも…」

「もう倒れないから」

「うん、じゃあ、また明日」

「また明日」


俺は笑顔で志貴を見送った。


(さて…と)


俺は、さつまいものモンブランを冷蔵庫にしまった。

それから、パーカーを着て、廊下に出た。


(あいつの事だから、近くにいそうだけどな)


俺は、あんなに会いたくないと思った祐を捜す自分がいる事を不思議に思いながら、病院内を歩き回っていた。


やがて俺は、日当たりのいい中庭を発見した。


「…え!?」


その、ベンチの近くで俺はあり得ないツーショットを目撃した。


一人は、俺が捜していた祐。


そして、もう一人は、俺がずっと気がかりだった人。

「春日さん!」

「おや、変な所で会うねぇ」


車椅子の春日さんは、俺を見てニコリと微笑んだ。


「随分素敵になったじゃないか」

「ばあちゃん、祐也の知り合い!?」


俺の頭を撫でる春日さんを見て、祐が目を丸くした。

「お前こそ、春日さんの何だよ!」


俺は祐を睨みつけた。

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