《MUMEI》

「ユキ〜。


早く帰ろ〜。」


「お〜。」


(こんなにハンドボールから遠ざかったのは受験以来だな。


もう…


やることはないんだろうな…)





「いいよいいよ!!


欲を言えばもうちょい回転をかけた方がいいかな。」


「わかった!!」





体育館から、声が聞こえる。


聞き覚えのある声だった。


(…椎名?)


「ユキどこ行くの?」


「…」


吸い込まれるように、


ユキヒロは体育館に。


(…)


「おっけ。


じゃあ次ステップの練習しようか。」


「うん。」


(俺も…)


「千秋は右利きだからなぁ。」


「椎名!!」


「?」


声に振り向く椎名。


「ユキヒロさん!!」


「俺も混ぜろ!!」


「…あは!!


遅いすよ!!」













それから、


ユキヒロの誘いにより数名の部員が入った。


しかし、


県民体。


新人戦。


1年生大会。


県総合。


全ての大会に不参加となった赤高。


その責任は、


当然顧問である西野が取った。


ハンドボールができる。


そのことに満足していた新チーム。


『絶対上に上がれよ』


『約束します』


翔太とユキヒロの約束は、


いつしか忘れ去られた。


翔太はハンド部に起こったことを知るが、


その状態に幻滅し、


関わりを持とうとはしなかった。


そして猪狩も、


そんなチームに関心などなかった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫