《MUMEI》

目的地である電機屋へと辿り着けば
様々立ち並ぶ家電を眺めながら、目的の物を探して回る
さして見もせず、見つけたソレを適当に取ると精算のためにレジへ
相変わらずの深沢に、滝川は苦笑を浮かべながらもその後に続いた
その途中
突然辺りに、する筈のない花の香が漂い始め滝川は辺りを見回し始める
甘く漂ってくるソレに
一体どうしたのか、滝川の傍らに寄り添い飛んでいた蝶が、突然に忙しなく羽根を動かし始めたかと思えば
その姿は弾ける様に消えて行った
一体何事かと首を傾げた滝川だったが
どうせすぐに戻ってくるだろうと、さして気に掛ける事もせず深沢の元へ
「どうかしたか?」
小走りで来た滝川へ
レジで精算しながら深沢は穏やかに口元を緩ませながら問えば
優しい深沢の表情に、滝川は何故か安堵し、何でもないのだと返す
「なら、帰るか」
深く追求する事を深沢はせず
取り敢えず目的の物は購入出来たので、滝川の手を取り帰路へと着いた
相も変わらず、人通り車通りの多い表通りを深沢の後ろに付いて歩きながら
姿を消してしまった陽炎が、やはり気になって仕方のない滝川だった……

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫