《MUMEI》 下校〜麗羅視点〜 はぁ・・・・・。 歩は、途中で早退しちゃったし栄美と海も結局来なかったな。 何だろう・・・。 少し前までは、1人が当たり前だったのに。 何でこんなに寂しいと思う自分がいるんだろう? 「麗羅っ!」 帰りの支度をしていると後ろから私を呼ぶ声が聞こえ、振り返る。 「真星」 私の後ろに立っていた少女――真星の名前を口に出す。 「中原くんが帰ってからため息ばっかりだね? いつも一緒にいる蝶野さんたちもお休みだったし寂しいね」 真星の言葉に私は、コクンと頷く。 すると真星は"そっか"っと言いながら、悲しそうに微笑んだが、すぐに明るい表情になり質問する。 「一緒に帰ってもいい?」 私は笑顔で頷く。 靴箱でシューズから靴に履き替えながら真星が話しかけてきた。 「明日は、みんな来るといいね!」 「うん!真星のこと栄美や海に紹介するね! 歩もきっと・・・真星がいい子だって分かってくれるよ」 私は、今日の歩とのやりとりを思い出し少し悲しくなった。 「いやでも、私が悪いんだし・・・」 真星が言葉を濁す。 「いやあれは歩が悪いよ!」 そんな真星に私はキッパリと言い切る。 そして言葉を続ける。 「でもね、歩も悪気があった訳じゃないと思うし、話せば分かってくれると思う。 本当の真星のこと知ったら、歩もきっと真星のこと好きになるよ!」 真星は、驚いた様子でしばらく目をパチクリさせていたが、目を細め優しく微笑んだ。 「麗羅は、私のこと信じてくれるんだね」 真星がポツリと呟いた言葉を、かろうじて聞き取ることが出来た。 前へ |次へ |
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