《MUMEI》

「クロさん何言ってんすか!?」


「そうすよクロさん!!」


「お前らが言ったんだろ?


猪狩の言ってることは間違ってるって。」


「そうですけど…」


「…久しぶりですね。


黒田先輩。


覚えててくれたなんて光栄ですよ。」


「や、忘れてたんだけどね。


顔見たら思い出したよ。


確かにセンスがあったのは覚えてるけどね。


で?


試合はどうする?」


「…こいつらと?


おもしろい話ですけど、チームがないでしょ。」


「そんなことないんじゃない?


僕が集めてあげてもいいしね。」


「先輩が?


ふん。


下手くそと組ませて俺を追い出そうって魂胆すか?」


「ふ〜ん…


割りとそういうとこに頭働くんだね。


いいよ。


選手はお前が納得するようなやつを集めてあげるよ。


例えば、


僕とか。」


「クロさん!?」


「…あんたがわざと下手なプレーをするかもしれないだろ。」


「なるほど。


そこまで考えるか。


…僕としても本気でやんなきゃいけない理由があるんだ。


手は抜かないよ。


約束してもいい。」


「…」


(何を考えてる…?


…まぁいい。


こんな形でハンド部を俺の物にできるなら、


それに越したことはない。)


「どうする?


僕じゃ不服?」


「いや、おもしろいですね。


乗りますよ。」


ニヤッと笑うクロ。


「決まりだね。」

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