《MUMEI》

猪狩と試合の約束をしたクロ。


選手たちとともに体育館に戻っていた。


「何考えてんすかクロさん!!


猪狩と試合なんて!!


しかもクロさんは猪狩のチームに入るなんて!!


どうかしてますよ!!」


「別に。


僕たちと試合できればお前たちの練習になるでしょ。


な。翔太。」


「え?俺も出るんすか!?」


「当たり前だろ。


センターできるのはキミだけなんだから。」


「俺たちが負けたら猪狩がキャプテンなんすよ!?」


「負けたら。


ね。」


「…クロさんは何を考えてるんすか?」


「…僕たちは市民体で優勝した。


聖龍を倒してね。


つまり、


僕たちが社会人では1番強いことになる。」


「…それが何か関係あるんすか?」


「はっきり言って、


僕たちよりも、聖龍クラブよりも、


今の聖龍高校は強いよ。」


「…」


「僕たちを越えなきゃ、


優勝はなしだ。」


「そんなこと…」


「僕たちに勝てないってことは、


僕のやり方は間違ってたことになる。


だから僕のやり方が正しかったって証明する為にも、


お前たちに勝ってもらわなきゃならない。


当然。


僕は手を抜かないよ。」


「そんな…」


「幸い試合まで1ヶ月ある。


猪狩にも勘を取り戻してもらわなきゃなんないしね。


1ヶ月の間に、


レベルアップしてもらうよ。」


「…」


一見無茶に思えた試合だったが、


クロと猪狩。


2人の意見は合意していた。


『本気で赤高と戦う』


という一点に関して。


「さて…


いきなり時間を無駄にしたね。


ガンガン行くよ。」


「…はい。」

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