《MUMEI》

先生は、


どんな気持ちで僕にコーチを頼んだんだろう?


自分がいなくなるから、


後を任せられる人間を探していたんだろう。


きっと僕よりずっと上手い人にも声をかけてたんじゃないかな。


でも、


今こうして赤高のコーチをやってるのは僕だ。


僕なんだ。


だから、


だからこそ僕には責任がある。


あいつらを上に連れていくっていう責任が。


だから僕はあいつらの前を歩き続ける。


あいつらと一緒に練習して、


僕も上手くなんなきゃならないんだ。


猪狩との試合は、


どうなるかわからない。


猪狩の実力だって覚えてないし。


メンバーだってまだ決まってない。


それでも、


それでも僕は本気で試合をしなくちゃならない。


勝つつもりで試合はやる。


だけど、


本気でやって負けることで証明しなくちゃならないんだ。


僕を選んで間違いはなかったって。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫