《MUMEI》
友人
笑いながら背を向け奥へと進んで行こうとするリースに声をかける狩月。
「あの・・友人登録してもいいかな?迷惑じゃなかったらで構わないけど・・」
そう尋ねた直後琴が、
「レベルを考えろ。俺らなんか役に立たないし・・」
と小声で囁く。リースは振り向き
「私と・・か?」
少し困惑気味に尋ね返すリース。迷惑でなければでいいんだけど・・と申し訳なさそうに答える。
「ありがたい申し出だな。喜んでと言うよりこちらからお願いする。何故かは解らないが・・誰もそういった事は尋ねてくれなくてな。」
と寂しそうに笑う。えっ?と困惑する狩月たちに対し
「私からは言いにくくてな。その・・高レベルだから自慢してるんじゃないぞとか言われるのが怖くてな。」
うつむき、恥ずかしそうに言葉を続け握手を求める。
「私で良ければよろしく頼む。」
すっと握り返し、こちらこそと笑う狩月、それに続くかのように琴、ボンカーの二人も友人登録を申し出る。
「一つだけ約束してほしい。その・・無茶はしないでくれ。どうしてもと言うなら私が居る時にしてほしい。私程度居ても居なくても変わらぬかも知れぬがな・・」
申し込んでおいてすまないと言いながらも真剣な表情。それぞれ笑顔で返す三人に安堵した様子を見せ
「すまない、意味不明な約束をさせてしまって。またいつでも呼んでくれ。」
それでは、と奥へと向かうリース。彼女を見送りながら
「俺らもレベル上げ再開するか?」
「う〜ん・・俺はもうそろそろ、家戻らないとダメなんだ。悪いけどまた今度な。」
そう言いながら出口へと向かうボンカー。どうする?と顔を見合わせる二人。狩月が思いついたように、
「街の案内してほしい。また迷子になりたくないし・・・あと宿も探さないと・」
それもそうか、とうなずき出口へと向かうことにした二人の前にボンカーが戻って来た。どうした?と尋ねるとあはは・・と苦笑し
「道解らない・・・案内してほしいな〜って思ったり・・」
ダメ?と聞いてくる。狩月は笑いながらわかったよ。と答え、琴は、やれやれと肩をすくめながら
「俺らも帰ることにしたからな・・ついでに送ってやるよ。道くらい覚えておけよ。」
面目ないと頭を掻きながら笑うボンカーにつられて笑い始める琴。三人は街へと向かってゆく。
洞窟の外は日も傾き暗くなってきている。何度かモンスターと遭遇したが狩月、ボンカーともに慣れてきたおかげで苦労はせずにリーベルへと到着する。
「着いた、着いた〜ありがとな。じゃ俺は家へ帰るから〜また明日かな?」
手を振りながら去っていくボンカー。

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