《MUMEI》 がらんどうな学校は寒気立つ静けさだ。 樹は身震いをした。 再度メールを確認して、外靴から持って来た新品の靴に履き変える。 永の闇のような冥さを窓から漏れる月光が照らした。 樹は僅かに咳込んだ。 臭いがする、嗅ぎ覚えがあるその生臭さ、鉄の臭いだった。 月に照らされ真っ直ぐ続く光、廊下の奥に染められた影。 影の形の立体である違和感に、突き当たりの角に踞る………… 「アラタ……?」 口に出してしまっていた。 アラタは膝を抱えたまま踞っていた。眼球が樹の声で反応したことに安堵し、近付いて行く。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |