《MUMEI》
ハイテンション
「うわ、個室広っ! 祐也君て、もしかして、お坊っちゃまなの?」

「言われてみれば高貴な顔立ちを…」

「え? そうなのか?」

「違います」


人数が多いから、春日さんのいる四人部屋よりも、俺のいる個室に移動したのだが、俺は既に三人の…


というより、美緒さんのテンションの高さについていけなくなっていた。


葉月さんと同じ二十二歳だという見た目も若い美緒さんは、俺の周りの女子高生よりもテンションが遥かに高かった。


「あの〜、それより、お二人と春日さんはどういう関係なんですか?

それに、春日さんがどうしてここに?」


俺がやっと本題を言えたのは、個室に集合して三十分以上経った頃だった。


「キヨさんは私達にとって大事な恩人なの」

「そんな大袈裟なものじゃあ…」

「だってキヨさんいなかったら私は生まれてないし、葉月とも会えなかったのよ!」


美緒さんは、車椅子に座る春日さんの手を握り締めた。


「そうですよ。それに、キヨさんを一人で逝かせたりしたら、俺が死んだ婆ちゃんに呪い殺されますし。

俺の他にも、爺さんや親父に殺されるヤツはいますからね」


葉月さんは、物騒な発言の理由を話し始めた。

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