《MUMEI》
春日キヨ伝説
春日さんは、今は上品な老婦人だが


十代の頃から地元で有名な美少女で


二十歳で美貌の未亡人となった瞬間から、求婚者が殺到したらしい。


亡くなった夫一筋の春日さんは、そんな連中を丁寧に一人ずつお断りしたが、そんな春日さんにますます夢中になった連中は、それならせめてお友達になりましょうと申し出た。


優しい春日さんは、その強い申し出を断れなかった。

『どれほど時間が経とうとも、私はあの人以外の夫を迎えるつもりはありませんよ。
それでも、本当にそれでも宜しいのですか?』


その言葉通り春日さんは、ずっと独身を貫き通した。

下心丸出しだった連中は年を重ねる毎にいなくなったが、それでも、本当に友人として春日さんと過ごした人間も、少なからずいたのだ。


そして、彼等は他の女性と結婚しても、友人として春日さんを気にかけていた。

そんな彼等の息子であり孫にあたるのが、葉月さんが『爺さんや親父に殺されるヤツ等』と言っていた人々だった。


普通なら、母親や祖母以外の女の為に何でそこまでと激怒するところなのだが


何故か、春日さんは


男友達の妻子と交流があり、しかも、とても好かれていたのだった。

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