《MUMEI》
春日さんファンクラブ
「はい、質問」


話を黙って聞いていた祐が手を挙げた。


「何? 祐君」

「春日さんがすっっごく色んな人に好かれてるのはわかったけど、葉月さんと美緒さんがどうやって知り合ったのかわかりません」


それは、俺も疑問だった。

「俺の婆ちゃん、キヨさん大好きなの説明したよね」

葉月さんの言葉に、俺と祐は頷いた。


「わかりやすく言うと、婆ちゃん、キヨさんのファンクラブ作ってたんだ」

「「ファンクラブ?」」

「最初はキヨさんに近付く男を管理する為に作ったらしいけど、途中から、キヨさんが自分のいないとこで知り合った人達のチェックも、婆ちゃんやり始めちゃって

今じゃ、キヨさん好きのコミュニティみたいなもんかな」

「「コミュニティ?」」

「電話でキヨさんの近況報告したり、キヨさんの良さについて語り合ったりね」
「で、そこのオフ会で私と知り合ったんだよね!」


「春日さん、スゲェ…」


祐が春日さんを見つめると、春日さんはうつ向いていた。


そして、一言。


「だから、一人になりたかった」


ポツリと言った。


更に、驚くべき事に、春日さんは…


北海道出身だった事を、告白した。

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