《MUMEI》
惜しまれる存在
春日さんは、知り合いのまた知り合いのそのまた知り合いの…


ほとんど知人と呼べない人の紹介で、屋代さんが働く施設に入居した。


連絡先は、春日さんの兄になっていたが、周りにあれだけ好かれていた春日さんだが、身内とは疎遠で、滅多に会いには来なかった。

それは、春日さんが身内が勧める再婚話を全て断っていたからだった。


「でも、どうやって今回の事を?」

「キヨさんの身内を片っ端から問い詰めた。
最初はキヨさんに口止されてて言わなかったけど…

あいつら、キヨさんを看取るのが嫌で、やっと白状したんだ」


冷静な口調だった葉月さんが、後半は少し興奮気味だった。


「入院費用出しますからって言ったらあっさり転院認めるし!
その前は、『本人の意志ですから』なんて言ってたのに!」


「そこまでして長生きしなくても、いいと思ったんだよ」


「「そんなのダメです」」

春日さんの言葉に二人は顔色を変えた。


「キヨさん死んだら嫌だもの!」

「最良の事をやり尽したというならともかく、今回のような事は認めません」


「やれやれ…」


春日さんは、苦笑していた。

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