《MUMEI》

――泣いた。

フランスのちょっと昔の映画。

想いが通じあっているのに、色んな事情で、結局一緒にいる事が出来ない二人。

切ない恋愛モノだった。



「普通の映画館の中で昔の映画上映してるなんてびっくりした」
「うん、この映画館の5番は洋画を毎日ランダムに上映してるんだ、今日はたまたま恋愛モノで良かったかな?」
そう言いながらにっこり微笑む貢。

「―――て……」

「ン?」

「女の子と…、ここに…」

―――ああ!

……俺って…

「聖、俺恥ずかしいけど、ダチ以外の子と映画館来たの初めてだから」
本当に、僅かだけど恥ずかしそうにそう言って

「今日の為に色々調べたりさ…、――恥ずかしいね?」

「…貢……」

もう、胸がいっぱい…

「貢…、お願い…」

「ン?何?」





映画館のトイレの個室。どうしてもキスしたくて、甘えたくて…

それだけのつもりだったのに!!

「ぁ……、ン、―――――…、ぁ…」

「声…我慢」
俺の耳元にそう、つぶやきながら
「〜〜〜!!!――
は!――――ッ…」

露骨に強く突いてきた。

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
ケータイ小説サイト!
(C)無銘文庫