《MUMEI》
改めて確認
「何か…祐也も春日さんになりそう」


春日さんと、遠藤夫婦がいなくなると、祐がポツリと言った。


「…は?」


(無いだろ、それは)


「だって、皐月さんみたいな事、志貴もしそうだし」
「志貴は別に親友じゃないぞ」

「でも、最近親密度上がっただろ! 名前で呼んでるし、志貴には笑顔向けたりするじゃないか!
俺には冷たいくせに!」

「日頃の行いの違いだ」

「だから、密かに償ってるだろ!」

「……これの、どこが?」

俺は、冷蔵庫を開けて中から祐の作ったさつまいものモンブランを取り出した。

「た、食べてないのか!? 俺の自信作!」


祐は、俺に密かな償いがバレバレな事よりも、自信作が残っている方にショックを受けていた。


「この前のアップルパイで確信したけど…」

「それも、食べて無いのか!?」

「…食べたよ。だから」

「やった! うまかっただろ? な? な?」

「いいから話を聞け!」


なかなか進まない話にイライラして俺は叫んだ。


「は、はい!」


祐は背筋を伸ばした。


「つまり、初日から、お前がデザート作ってたんだな?」


俺の言葉に祐は何度も頷いた。

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