《MUMEI》

「なんで乙矢から連絡来ないんだよ……!」

宗方さんは乙矢君からのメールが来ておかしい(いつもだが)。


「岸君、子宮ってどうすれば貰えるかなあ?」

時々この人は真面目なのか不真面目なのか分からない。


「いや、貰えるものじゃないですから。
今は年末までの入稿が宗方さんの最優先すべきことですよ?」

いいから手を動かせと言いたい。


「……俺が美人じゃないからなのかー?!オッサンだからなのかー?!乙矢あー!」


持て余した力を使い回転椅子で回転し始めた。


「五月蝿いです!今日からこれがあんたの乙矢だ!」

落ち着かせる為にその辺に転がっていた熊のぬいぐるみに眼鏡を付けて渡した。



「……うう、馬鹿乙矢……」

熊が気に入ったのか小脇に抱えながら作業を再開した。


「乙矢君もよくやるよ……」

ホントによくやるよな。


「宗方さんは黙ってりゃ美形だからね。」

いや、今は熊を小脇に抱えている変な人だから……



「あれ、買い出し行ってる間に留守番がいなくなってる!」

利恵さんが帰って来た。
いつも利恵さんが出掛けているときは留守番熊を配置している。


「岸君が宗方さんとこに嫁がせました。」


「利恵さん、代わりの●ンパンマン居ます。」

利恵さんのお子さんの影響で空前の●ンパンマンブーム到来していて、出来ればさりげなく食玩●ンパンマンをお子さんへあげたかった。


「私はバ●キンマンの方が好きなのに……」

なんと、利恵さんは悪役派だった!

「瑠璃(娘)は今もうポ●モンだからなー。」


「え!もう飽きたんですか!」

子供って恐ろしい!


「利恵さん、俺も子供欲しいー。産んでください」

宗方さん、問題発言!


「嫌です。貴方じゃ子供が幸せになれないし。アルがいるでしょう。」

凄い、利恵さんてば最強。


「分かっているけど、分かっているけど利恵さんに改めて言われるとダメージがでかい……。」


「じゃ、コレで。」

利恵さんに首根っこ引っ張られる。



「…………ム゛ー!」

利恵さんの剛腕により宗方さんへ唇をぶけられる。

    パシャ


「ほら、この写メを送りなさい。電話の一つはかかってくるんじゃない?」

利恵さんの撮った写真にはしかと俺と宗方さんのぶちゅーやってる瞬間が……

俺を当て馬に無理矢理唇を奪わせるなんて利恵さん酷いです……!でも、そんな貴方を愛してますよ。


「ありがとう利恵さんヤバイ、惚れそう……。」

宗方さんは熊乙矢君がいるでしょうに!


「いいから、その写メ送ったら仕事おし!」

利恵さんは亭主関白だ。


数分後、俺の唇という尊い犠牲を払って宗方さんは彼氏と連絡を取れたようだ。

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